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「次世代になにを残せるか」目指すはライフシェアのプラットホーム。成功するまであきらめないAsMama 甲田 恵子氏の挑戦(株式会社AsMama 甲田 恵子CEO)【festivo起業家インタビュー】

一歩先行く先輩起業家、事業家や特異な視点をもつ起業家の今を切り出すインタビュー企画、festivo起業家インタビュー『Our life is our flame.-情熱に生きる僕らの今-』。今回は助け合いの社会プラットフォーム形成に挑む、株式会社AsMama 甲田氏に登場していただきました。

先日の資金調達のニュースは大きな話題を呼びました。AsMamaのこれからとこれまでをひもときます。

 

バリバリのキャリアウーマンから突然のリストラ。青天の霹靂

 

前職はベンチャー投資会社にいました。わりとスピンアウトしていく人が多かったので、心のどこかで「いつか起業するかも」ぐらいの気持ちはあったかもしれませんが、20代から30代はむしろ企業人としてのキャリア志向が強いビジネスウーマンだったんです。

娘が生まれたときには、育児か仕事かということを考える間もなく、「子どもが生まれたんだから、経済的にも時間的にも余裕のある社会的地位に早くつかないと」と思っていました。

ところが、上場会社で広報とIRの統括部長までやって、妄想ながらも次に狙うは役員クラスか、、、、という考えもちらつき始めた頃、会社都合による従業員のリストラが行われたんです。青天の霹靂でした。

私のこれまでの人生は一体なんだったんだろうと思いました。家庭より、子どもより、むしろ仕事にファーストプライオリティを置くことが多かった、私のすべての選択が否定されたような気にさえなったんです。



職業訓練校で見た光景に唖然。起業を決意

その後、いろんな会社からオファーがありました。ただ、いったん休憩しようと思い、職業訓練校に行ったんです。

その職業訓練校で、自分の中に価値変革を起こすような光景が待っていました。そこには、妊娠や出産、子育てによって、仕事を追われてしまった優秀な女性がたくさんいたんです。

テレビや新聞、雑誌では、女性の活用こそが今後の日本の発展には必要不可欠だと言われていますが、妊娠して出産すると、身近に子育てを気兼ねなく頼れる人がいなければ、やっぱり仕事を辞めざるを得ない。これはおかしい、と。

一方で、専業主婦と話をしてみると、選択して専業主婦になり家事や育児に関する知識や情報を豊富に持ちながらも、社会と関わっていたい、自由になるお金がほしい、経済力がほしいと思っている方がたくさんいて。でも、どうしていいかわからない。

こういった人たちが「子育て」を理由に出会える仕組みや頼り合える仕掛け、プラットフォームのようなものが、日本中、もしくは世界中にあれば、誰かに頼ることによって仕事ややりたいことが出来、キャリアアップや自分の世帯収入をあげることが出来る。

一方、頼られることによって生きがいや対価を得ることが出来る人もいる。

そういうプラットフォームがあれば、1人ひとりがライフステージに応じて頼ったり頼られたりしながら生活の豊かさをコントロールできるんじゃないかと思ったんです。

子育てにドメインを置こうと思ったのは、色々と調べていくうちに、人生がドラスティックに変わり、それが社会的にも最も影響をもたらすのが、産後、子育てを頼れないことによって引き起こされる様々な事象だと思ったからでした。

誰かがなんとかしないといけない、誰もしないなら私が何とかしなければいいけない、そう思ったことが起業のきっかけです。



1年で13人中11人が離脱……。怒号が飛び交う中、失意のどん底へ

 

まずは大事な子どもを預けあう「仲」を作るために、交流会からはじめました。ただ、いくら交流会をやっても頼り合いはおきません。また、事業としての収益化も当時はできておらず、スケールアウトなど、まったく起きる気配すらなく……。

スタート時は13人だったメンバーも、1年後には11人が辞めていきました。「事業計画書とはまったく違う!」「こんなんじゃなかった!」「大嘘つき野郎!」ぐらいの勢いで怒号も浴びました。

毎年8月になると、帯状疱疹とか湿疹が出ることを思うと、当時の衝撃は自分が思っていた以上に大きかったんだと思います。

次はこれだというものもなかった中、偶然にも社外の起業支援プログラムの一環で、街頭アンケートを通じて1000人の声を聞くタスクに取り組むことになりました。それがAsMamaの原点になったと、今振り返っても思っています。

アンケートから「助けてくれる人がいなくて子育てがしんどい」「仕事を辞めて悔いている」「我が子と一緒にはいたいけれど保育士としての経験も生かせたら」という人々の声、ニーズが、1000人ぶん、毛穴から染みこんできました。

「これだけニーズがあるのなら、誰かがなんとかしなきゃ」、という使命感が日に日に湧き上がってきました。同時に、これを解決するものが見つかったらこれは莫大なビジネスになる、とも思いました。ガス電気水道となんら変わらないぐらい誰もが当たり前に使える共助のプラットフォームを事業化する、という思いが、ミッションに変わった時でした。



成功するまでやめない。それが事業をするということ

起業当初は何をやっているのかあやしまれて友達をなくしたり、宗教と間違われたりもしましたし、資金が底をつくんじゃないかとか不安になるようなこともありました。小さな失敗や浮き沈みは日常茶飯事ですね。

最もつらいのは、信頼していた従業員が辞めていくときです。相手の選択を頭では尊重しなくてはと思いながらも、経営者としての未熟さや不甲斐なさを思い、家でお酒をガブガブ飲みながら泣いたこともあります。

でも、何があっても翌日には無理やりでも忘れて、「今日は何をしよう」と考えないとやっていけません。失敗しても上手くいかなくても、諦めない、やめないということこそ、事業だと思っています。

仮に上場するという選択が将来にあったとしても、上場がゴールではありません。自分たちが本当に目指している世界観が構築できてはじめて成功だと思います。



「失敗が怖くないかって? 怖いに決まってるじゃないですか」

たまに取材などで記者さんから「失敗したらどうするんですか?」とか「失敗するのを怖いと思ったことないですか?」と質問されることがあります。でも、怖くないわけないじゃないですか。

会社って自分の子どもと同じなんですよ。産んでしまってから、もう一回、お腹の中に戻すというわけにはいきません。

「もうダメかも」とか「お金が足りなくなる」と思った瞬間ってどうしようもなく怖いですよ。でも、どうしようとか考える暇もないんです。自分の子どもが不治の病で余命宣告されたとしても、「ああこの子はもう死ぬんだ」などと思う親はいませんよね。

家を売ろうがなにしようが、絶対にこの子は助かるという思いで、できることなら何でもしようとする。そうやって親は子どもを守るじゃないですか。経営者が会社や従業員を思う思いは、そういうものだと思うんです。



次世代に残せるものを。目指すはライフシェアのプラットフォーム

 

将来的には、生活支援だけでなく、物の譲渡や生活支援のシェアなど、サービスとしての幅を広げていきたいと考えています。いわゆる「ライフシェア」ですね。

超少子高齢化時代では、行政や会社ばかりを頼るのではなく、自分たちで自分たちの人生を豊かにできるようにならなければなりません。日本だけじゃなく、やがては韓国、中国、台湾などでもそういう時代がやってきます。

そのときに、顔が見えるから安心、仕組みがあるから気兼ねなくという共助の仕組みは、どこの国でも必要とされてくると思っています。早く、世界が誇るプラットフォームとして広めたいですね。

楽しければいいやと思ってこの事業を産んだわけではありません。次の世代に何を残せるかが肝心です。

子どもが大人になったとき、自分のお母さんやお父さんがこんな世の中をつくった、こんなものをつくったんだと誇れることで、きっとその子たちはまた、「自分は次の世代に何を残せるかな?」と考えると思います。



「ワークライフバランスなんて、大きなお世話ですよね」

普段の生活リズムに関しては、私、睡眠時間が3時間ぐらいなんですよ。寝てる時間がもったいなくて。なので、気を失うかのように寝て、泥のように眠り、ハッと起きるんですよ。

かかりつけ医に、「月に1回ぐらいたっぷり寝たほうがいいんでしょうか?」とか「休肝日をもうけたほうがいいんでしょうか?」と聞くと、「それが継続できるならいいけれど、思いついたかのようにやるのはよくない」と言われたことがあって。

おいしくご飯を食べて、適度にお酒も飲んで、とにかく仕事しているのが好きで、という時間をエンジョイしているのなら、それがベストなんだと思うことにしています(笑)。

ワークライフバランスという言葉は正直、あまり好きじゃないです。死ぬほど働いて、キャリアなり知識なりお金なりを得たいという時期があってもいいはずです。勿論、プライベートの時間をしっかりもちたい、という考えを否定もしません。

各家庭によっての考え方はそれぞれだと思います。それを「ワークライフバランス・イズ・ベストというのはおかしいですよね。多様性を真っ向から否定しています。

「5時には帰りましょう」「日曜日は毎週休みましょう」って言われても、それを望まない人や家庭、時期があるのもありだよね、と思うんです。



【おまけ企画】起業家の一日ウォッチング
「甲田 恵子さん」の一日

朝は4時〜5時ごろに起床。起きてからはメールのチェック。6時になったらお弁当と朝ご飯をつくる。3食自炊です。7時に家族を起こし、子どもの支度を手伝い、8時に送り出します。朝ドラは欠かさず見ています(笑。その後はメールチェックと家事。子どもが帰ってきたときのためにお手紙を書く。9時からは仕事です。だいたい営業や取材、講演で6〜7件まわって18時ぐらいか19時ぐらいには家に帰ります。それからお風呂に入って、子どもを寝かしつけて、22時ぐらいにそのまま寝てしまうことも。起きている場合は、メールを見たり、企画書を書いたりしつつ、主人が帰ってきたら食事をつくり、夜中の1時~2時ぐらいに寝ます。睡眠時間は3時間ほど。オンオフはありません。全部が自分の時間です。暇を見つけては仕事をしています(笑。



【起業家プロフィール】株式会社AsMama 甲田 恵子CEO

大阪府出身。フロリダアトランティック大学留学を経て、関西外語大学英米語学科卒業。1998年、省庁が運営する特殊法人環境事業団(現 環境再生保全機構)に入社。役員秘書と国際協力関連業務を兼務する。2000年、ニフティ株式会社入社。マーケティング・渉外・IRなどに従事。2007年、ベンチャーインキュベーション会社、ngi group株式会社に入社。広報・IR室長を担当。2009年11月、子育て支援・親支援コミュニティ株式会社AsMamaを創設。代表取締役CEOに就任。



 

子育て中の方は勿論、子育てを支援したい人も是非「子育てシェア」をご利用ください。頼る一方頼られる一方でも大丈夫。「預かってくれてありがとう」「お礼と楽しさ頂いてありがとう」が成り立つ仕組みです。コツは登録したら、気の置ける人を招待したり、AsMama認定支援者「ママサポーター」と繋がっておくことです。

AsMamaで働きたい人も、協業したい企業様や団体様も全国から募集しています!(^^)!

詳しくはホームページを http://asmama.jp

(編集:山中 勇樹