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「起業したいなら踏み絵を踏め!」(ストリートアカデミー株式会社 藤本 崇CEO)【festivo起業家インタビュー】

起業家、起業志望者の学びの場であるfestivoコラムですが、今回より新しい企画がスタートします。festivoにはさまざまな起業家や起業志望者が登録していますが、彼らへのアンケートによると、起業時の不安として

・何から始めれば良いかわからない
・どうやって事業を拡大していけば良いのかわからない
・どんな失敗や恐怖が待っているのかリスクが不安ではじめの一歩が踏み出せない

と言う声を多く頂きました。そこで一歩先行く先輩起業家、事業家や特異な視点をもつ起業家の今を切り出し、皆様の悩みの解消の一助にしたいと考えました。題して、

festivo起業家インタビュー『Our life is our flame.-情熱に生きる僕らの今-』

初回でもある今回は、ストリートアカデミー株式会社 藤本  崇CEOに登場していただきました。

スタンフォード大学にてMBAを取得。ユニバーサルスタジオ、フェデックス、カーライルグループなどを経て、2012年7月”教えると学ぶをつなぐスキル共有サイト”をコンセプトとした「ストリートアカデミー」を創業。2015年6月現在では公開講座数2,500、累計受講者数19,000人が参加するまでになったストリートアカデミーの創業からこれまでに迫ります。

 

 

起業当初は誰よりもまず“奥さん”にコミットした

 

ストリートアカデミーを立ち上げたのは2012年の7月、サービスをリリースしたのは8月です。会社を辞めたのが2012年の3月なので、退職後4ヶ月で立ち上げたことになります。ただ、2011年の年末ごろから模索はしていました。

それまでは金融系の企業に従事していて、給料も高かったんです。奥さんも子どももいて、MBAの借金を返したばかりで安心していました。でも当時、スティーブ・ジョブズが亡くなって……。それで「いつまでも情報収集ばかりしている場合ではないな」、と。

ちょうどそのころ、ストアカの原型となるサービスがアメリカでローンチしました。「これだ!」と思いましたね。日本にもしばらくは入って来ないだろうし、サイトも比較的簡単につくれそうだと感じたんです。いま思えば安易な考えですが、ようやく行動に移せました。

もともと起業願望があることは奥さんにも話していました。それでも、最初は反対されましたね。仕方がないので条件を提示したんです。1年以内に「チームを作る」「サービスをローンチする」「数千万単位の出資をうける」の3つを達成しなければ、会社員に戻る、と。

つまり、誰よりも先に奥さんにコミットしたんです。

 

いざローンチ! そして誰もいなくなった・・・

 

最初のオフィスは、あるWeb制作会社の一室。サイトは海外のクラウドソーシングサイトで依頼して、作ってもらいました。30~40万円ほどだったかと思います。すでにアメリカに類似サイトがあったので、それをコピーして日本語にして、位のゆるい指示を出したところ、1ヶ月半くらいで完成サイトが出来上がってきたました。

ただ、最初の要件定義にプログラミング言語を指定していなかったことが仇となり、ウェブ業界ではあまり使っている人が少ないマイナーな言語で開発されてしまい、それを動かすサーバーを見つけるのも難しいという、宙ぶらりん状態になってしまいした。このままではいけないと思い、それから改めて知識と技術を持つCTOと一緒にやらないとダメだと思い、それからはエンジニア探しと人脈作りに奔走しました。

色々とスカウトを試みた結果、まずは技術系の大学生ボランティアが2人来てくれました。自分はプログラマーではなかったのですが、結構優秀な子達で私も一緒に独学で調べながらサイト開発に着手しました。その後『Wantedly』などでもチーム集めを行い、ボランティアベースでは最終的には常時10人ぐらいが集まる溜まり場みたいな開発現場を作ることができました。

でも、ただ一人としてジョインしなかった。元々週末や勤務後のボランティアという人が多かったので、サービスがローンチした後の責任の所在が問われ始めた途端に、全員辞めて行ってしまったんです。

 

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起業の先に欲しいのは、
お金ではなく「シェアリングエコノミー」の未来

 

しかし自分も素人でプログラミングすることには少々疲れてしまったので、それからはコードを触ることを辞めて、とりあえず作ったサイトを使ってもらうユーザーをさがすべく、積極的に外に出るようになりました。メディア露出、コワーキングスペースへの営業、講師ユーザーの開拓など、とにかく外に出て活動したんです。いわゆるフィールドワークですね。

なにしろ、最初の掲載件数は9件だけでしたから。それも、知り合いの知り合いが掲載してくれているだけ。著名人でもなんでもない。サイトも誰も見ていません。たとえ見ていたとしても、自分を応援してくれる知り合いのみで、サイト上で決済をして受講予約してくれる人は皆無です。使われないプラットフォームってかなり寂しいですよ(笑)。

その後、地道なオフラインでの活動を繰り返していくと、ゆっくりとですが、講座掲載、生徒の予約、感想投稿などが蓄積されていくようになりました。そのとき意識したことは「コミュニティと世界観の醸成」です。ユーザー対応はもちろんのこと、コンテンツの種類やクオリティ、ガイドライン作り、オペレーションの強化に注力しました。

掲載条件を厳しくすることについては、社内からの反発もありました。ただ、稼ぐ目的だけで学ぶ人への思いやりを軽視したり、スキルの共有にコミットしてないような先生や講座内容が初見で目についてしまうと、サイト訪問者に「この人から学ぼう」と思ってもらえる安心感が得られない思ったんです。知らない人から何かを教わることに対して、最初のうちは不安もありますからね。安心感はマッチングサービスにおいてとても重要です。

もしその段階で先生やユーザーに嫌われていれば、その時点でサービスもコミュニティも“終わっていた”でしょうね。類似サイトはいくつも出てきましたが、みんな丁寧にユーザーを育てることなく辞めていきました。結局はガマン比べなんですよ。ボク自身、短期的なお金儲けがしたいのではなく、「スキル共有というシェアリングエコノミーの未来が見たい」という想いの方が強いです。言わば壮大な社会実験ですよ。

 

 

起業時にあればよかったなと思ったのは
プログラミングスキルより「PRマーケティング」の力

 

当初、プログラミングの知識がゼロの状態から素人的にサイトを開発して立ち上げれた自分に対して「俺結構よくやったじゃん」と喜んでる部分があったのですが、ローンチしてみると、空のプラットフォームサイトなんて立ち上げても全く意味がない。

結局、PRができていなかったんですよ。分かっていなかった。ユーザーは機能に集まる訳ではなくコンテンツやコミュニティに集まってくる。最初のうねりを作り出すためのマーケティングを軽んじていたことがスタート時の失敗です。

35歳で素人として初めてプログラミングを学んでそのままサイト開発のコードの6割ぐらいを自分で書いたという体験が注目され、よく起業したい方に「どうやって勉強したんですか」と聞かれるのですが、正直なところ、起業家にプログラミングの知識は必要ないと思います。もっとも大切なのは「PRマーケティング」です。

PRができないと、「ユーザーが集まらない」「チームが作れない」「出資もあおげない」。PRはどうやってやるかと言うと情報発信。それはfacebookでもWordPressでもTwitterでもできます。何かを立ち上げるには何をやりたいかやどんな世界を作りたいをひたすら発信して共感を呼ぶのが必須です。そこにプログラミングは要らないですよね。周りの人の共感を得られる人のもとには、プロダクトを作れる人間も自然と集まってきます。ものを作る人は作ることは得意ですが、じゃあ何を作ったら世界が変わるかまでは知ら無いし、彼らだってやっぱりカッコイイ起業家と出会いたいと思っているんですよ。

 

 

起業したいなら踏み絵を踏め!
情報収集よりも何でもいいから行動を

 

起業を考えている人に何か伝えられるとすれば、とにもかくにもアクションを起こすことが大切だということ。行動する前に答えを知ろうとして質問ばかりする人が多いですが、大抵のことはやってみないと得られる結果はわかりません。

またやってみないと他人からも意味のあるフィードバックを得ることはできないですし、応援してくれる人も生まれません。まずは旗を上げることから始めましょう。プロダクトができてなくてもやると声明発表をする。そうすると周りの期待が気になって自らを追い込むことができます。

成功者の体験談を聞いたりソーシャルでそれらしい記事を読んだりしても、聞くとやるでは身につける知識に相当差がありますし、成功者のやったことを真似しても、人は人、自分は自分なので、必ずしも同じ道のりを歩めるとは限りません。

自分で何かを発表したりコミットすればするほど周りを巻き込むことになります。

結果として自分に対しても「みんなにお世話になってしまって・・・俺は最後までこれをやりきるのかな」という踏み絵をふむことになります。踏み絵は怖いですよね。なのでその一歩を躊躇する人が多いです。ですが踏まないと、踏んだ後の世界は見れません。

 

【おまけ企画】起業家の一日ウォッチング
「藤本 崇さん」の一日

 

 

社内のミーティングも含めて、つねに誰かと会っています。リクルーティングから投資家との面談まで、とにかく人に会うことを重視しています。ポイントは「誰に会うのか」の選別。情報収集、営業、PRなど、どこに行って誰に会うのか、そのタイミングについて思案するする時間も大切にしています。

 

 

【起業家プロフィール】ストリートアカデミー株式会社 代表取締役CEO 藤本 崇 氏

米コーネル大学工学部修士課程終了。スタンフォード大学にてMBA取得。ユニバーサルスタジオ、フェデックス、カーライルグループなどを経て、2012年7月「ストリートアカデミー」を創業。コンセプトは「教えると学ぶをつなぐスキル共有サイト」。公開講座数2,500、累計受講者数19,000人を突破(2015年6月現在)。

 

ストリートアカデミーは、教えると学ぶをつなぐスキル共有のコミュニティマケットプレイスサイトです。ビジネススキルからヨガまで、ユニークなスキルを持つ講師が教える講座が全国各地で2,500以上が掲載され、40,000人が学んでいます。

(編集:山中 勇樹