サポーターズコラム

 代表取締役 宍戸徳雄
株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役
宍戸 徳雄
株式会社アジアリーガルリサーチ・アンド・ファイナンス代表取締役。アジア総合法律事務所のシンクタンクとして、アジア各国の法情報サービス、法令や判例の調査・研究、企業のアジア進出支援業務を行う。ミャンマービジネス法の専門家。2012年にヤンゴンオフィスを開設。住友銀行(現三井住友銀行)を経て独立。「ミャンマー進出ガイドブック」(プレジデント社)を出版。各種アジア進出セミナー、ミャンマー投資セミナーなど講演活動を展開している。有楽町ビジネスカレッジ「アジア実戦起業塾(ミャンマー編)」講師。 その他、台北、上海にも拠点がある。

ヤンゴン通信 第4弾 「アジアにおける行政裁量」

ヤンゴン通信ですが、今回は出張中のバンコクで執筆しています。

ここバンコクに拠点を置く、アジア最大規模の某日系企業A社での打ち合わせで話題になった「アジア新興国における行政裁量」について、いい機会なので、若干コメントを書いておきます。

私は、先週、ずっとミャンマーの首都ネピドーで、議会、主要省庁周りを行っていました。そこで、痛感したのが、やはりアジアの新興国の筆頭であるミャンマーは、まだ「人治国家」であるということ。「法による統治」「法律による行政」という概念はあっても、それが運用ベースで、まだまだ機能していないというのが実態だ。

確かに、ミャンマーは民主化後、様々な分野の法整備を急ピッチで進めている。議会にあがってくる法案の数もかなりの数だ。今のミャンマーは法律がないことが問題というよりも、成立した法律を、行政実務ベースで、法の目的や趣旨を解釈して運用する判断基準が不明確で、行政庁の個々の役人の判断に依存しているこということだ。もっとも、通達のような下位基準も存在するが、それらも依然として抽象規定が多く、多くの判断に裁量の余地を残している。

このような状況下においては、例えば、営業ライセンスの許可基準が、法や施行規則の明文規定のみを見て、その許可判断の可否をおよそ推し量ることができないのだ。このことは、現地の弁護士5人に判断を求めれば、5人とも異なる見解を言うことからも分かる。これはミャンマーに限ったことではない。他のアジアの新興国においても同様の状況がある。アジアの新興国では、自らが望むビジネスを現地で起業し、営業を行うためには、まずこのアジア特有の行政裁量の壁にぶつかることになる。先進国でいう法解釈のような次元のものではない。分かりやすく言えば、人治的行政裁量だ。

法の明文規定で、「できる」と規定されていることも、行政の窓口で「できない」と判断されたり、「できない」と規定されていても、「できる」と判断される場合もある。また、判断主体(省庁)が、コロコロ変わることもよくある。どこの省庁に許可を求めればよいのかすら分からないことも日常茶飯事。

このような不明確な行政運用の現場こそ、悪しきアジア的ワイロ主義の温床となるわけだが、それ以上に、ビジネスとして事業を成立させるべく、起業家としては、現地の行政官庁の事務方としっかりとしたパイプを持つことが有意になる。もしくはそのようなパイプを持った専門家と組むことが重要だ。そうでなければ、行政との不毛なコミュニケーションに多大なコストと時間を払うことになる。アジアのビジネスでは、しかるべき行政事務方のルートを通じて、ヒヤリングを積み重ねながら、手続きを進めていくことが重要だ。闇雲に当たって砕けろ!的な感覚で申請し、行政庁側が善意で処理してくれるような先進国的な対応は、まず皆無と考えてよい。このしかるべき行政事務方へのルートは、なかなか外からは把握しにくいし、自分一人の力で新たに構築するのは難しい。必ず、行政宛て手続きに精通した現地の専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

ミャンマーの行政庁あての手続きのことであれば、宍戸にご相談下さい。

 

株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役 宍戸徳雄

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