サポーターズコラム

 代表取締役 渡邊勝幸
株式会社つくる仙台 代表取締役
渡邊 勝幸
起業集団株式会社つくる仙台代表取締役。 東北大学大学院情報科学研究科非常勤講師(情報技術経営論)。 起業の専門家として、起業に関する相談を無料で承っています。 http://www.tsukurusendai.com/

55歳以上シニア起業家の開業─日本政策金融公庫総合研究所調査


『シニア起業家の開業~2012年度「新規開業実態調査」から』(日本政策金融公庫総合研究所2012年12月25日)
http://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_121225_1.pdf


昨年末に日本政策金融公庫から、
シニア起業家の開業に関する調査結果が発表されましたので、
皆さんにシェアしたいと思います。


公庫の場合、シニア起業家という定義は55歳以上なのだそうです。

この公庫の総合研究所では、
新規開業企業の実態を把握するために、1991年から毎年

「新規開業実態調査」

を実施し、
開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータを蓄積すると同時に、
様々なテーマで分析を行っています。


今年度は、高齢化が進展するなか開業の担い手として注目を集めている

シニア起業家(開業時の年齢が55歳以上)

に着目し、他の年齢層の起業家と比較するという手法を用いて、
そのキャリアや開業動機などの特徴を分析しています。



●事業の概要についてですが、

事業所向けが多い

という結果が出ています。


○ シニア起業家の開業業種をみると、医療・福祉が22.1%と最も多く、次いでサービス業(17.9%)、飲食店・宿泊業(14.7%)となっている。

○ 主な販売先は「一般消費者」が66.3%となっており、「事業所」(33.7%)を上回る。ただし、他の年齢層と比べると「事業所」の割合が高い。




●開業直前の職業については、

マネジメントに携わっていた人の割合が高い

という結果が出ています。


○ シニア起業家の開業直前の職業は「正社員・職員(管理職)」が46.7%と最も多い。
これに「会社や団体の常勤役員」(23.3%)を合わせると70.0%となる。
開業直前にマネジメントに携わっていたシニア起業家は多い。

○ 開業直前の勤務先での勤務年数をみると、シニア起業家では「21年以上」が44.2%と、ほぼ半数に達する。
これに対して「5年以下」は24.7%にとどまる。
多くのシニア起業家は、開業直前の勤務先に長く勤め続けていたといえる。



●開業直前の勤務先規模と離職理由については、

規模が大きな企業に勤務していた人の割合が高い

という結果が出ています。


○ 開業直前の勤務先の規模をみるとシニア起業家では「19人以下」が31.6%と最も多い。
しかし他の年齢層と比べると、「19人以下」の割合は低く、
規模の大きな企業に勤務していた人の割合が高い。

○ シニア起業家が開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」(57.1%)が最も多く、
次いで「定年による退職」(19.5%)となっている。一方、勤務先都合による離職も18.2%となっている。



●斯業経験と最終学歴については、

長い経験を生かした開業がある一方、未経験分野での開業もみられる

という結果が出ています。


○ 斯業経験年数(現在の事業に関連する仕事の経験年数)の平均は、シニア起業家では17.8年と他の年齢層よりも長く、分布をみても「30年以上」が32.3%となっている。
半面、「経験なし」の割合は22.6%と、他の年齢層よりも高い。長い経験を生かした開業がある一方、未経験分野での開業もみられる。

○ シニア起業家の最終学歴は大学が47.3%と最も多い。



●家計の状況については、

事業以外からの収入ありが過半数

という結果が出ています。


○ 自宅の所有状況をみると、シニア起業家では「所有しているが、住宅ローンはない」が54.7%と最も多く、他の年齢層を大きく上回る。

○ 事業以外からの収入があるシニア起業家の割合は52.7%となっており、他の年齢層を大きく上回る。
内訳をみると「年金・恩給」(38.5%)が最も多い。



●開業動機と収入に対する考え方については、

「できるだけ多くの収入を得たい」は少ない

という結果が出ています。


○ シニア起業家の開業動機をみると「仕事の経験・知識や資格を生かしたかったから」が51.1%と最も多く、
「社会の役に立つ仕事がしたかった」「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった」がともに36.2%で続く。

「仕事の経験・知識や資格を生かしたかったから」は34歳以下と比べて、「社会の役に立つ仕事がしたかった」と「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった」は他の二つの年齢層と比べて高い。

○ シニア起業家の収入に対する考え方をみると、他の年齢層と比べて「家計を維持できるだけの収入があれば十分だ」(64.9%)が多く、「できるだけ多くの収入を得たい」(26.6%)が少ない。



●開業準備期間と販売先・顧客の確保については、

準備期間3ヵ月以下が半数

という結果が出ています。


○ シニア起業家の開業準備期間の平均は6.1ヵ月となっており、他の年齢層と比べてやや短い。分布をみても「3ヵ月以下」の割合が50.0%と高い。

○ 開業時に販売先・顧客を確保していたシニア起業家の割合は58.5%となっている。この割合は他の年齢層と大きく変わらない。



●自己資金額と従業者数については、

より多くの従業員を雇用

という結果が出ています。


○ シニア起業家が開業時に準備した自己資金額は平均605万円と、他の年齢層よりも多い。「1,000万円以上」の割合も23.7%と、ほぼ4人に1人となっている。

○ 開業時の従業者数をみると、シニア起業家では平均6.0人となっており、他の年齢層を上回る。
分布をみても「5~9人」は24.5%、「10人以上」は14.9%となっており、これらの割合は他の年齢層よりも高い。



●開業計画へのアドバイスについては、

受けた人の割合は大きく変わらない

という結果が出ています。


○ 開業計画へのアドバイスを受けたシニア起業家の割合は82.1%となっており、他の年齢層と大きく変わらない。

○ シニア起業家がアドバイスを受けた相手をみると、「同じ業種の事業経営者」が53.8%と最も多いが、この割合は他の年齢層と比べてやや低い。また、「異なる業種の事業経営者」(14.1%)の割合も低く、事業経営者からアドバイスを受けたシニア起業家は比較的少ない。



●採算状況と予想月商達成率については、

黒字基調割合が低い

という結果が出ています。


○ シニア起業家の採算状況をみると、黒字基調が54.5%であるのに対して、赤字基調が45.5%となっている。黒字基調の割合は他の年齢層よりも低い。

○ 予想月商達成率(開業前に予想した月商に対する現在の月商の割合)をみると、シニア起業家の平均は95.6%と他の年齢層よりも低い。
「達成」(予想月商達成率100%以上)の割合をみても40.4%と、他の年齢層を下回る。



●売上の状況については、

増加傾向が約5割

という結果が出ています。


○ 開業時に確保していた販売先・顧客への売上が開業前の「予想よりも多い」とするシニア起業家の割合は12.7%、これに対して「予想よりも少ない」が38.2%、「予想どおり」が49.1%となっている。
他の年齢層と比べて「予想よりも少ない」の割合がやや高い。

○ 現在の売上状況をみると、シニア起業家のうち「増加傾向」は51.1%となっている。この割合は他の年齢層よりもやや低いものの、売上を増加させつつあるシニア起業家も少なくない。



●事業拡大意欲と上場意向については、

「拡大したい」の割合は変わらない

という結果が出ています。


○ 今後の事業規模(売上高)について、シニア起業家では「拡大したい」が89.5%と大半を占める。この割合は他の年齢層とほとんど変わらない。

○ 将来の株式上場を考えているとするシニア起業家の割合は2.2%に過ぎず、他の年齢層と比べて低い水準にとどまる。



●事業承継の意向については、

引き継がせたいが7割

という結果が出ています。


○ 事業承継の意向をみると、シニア起業家では「引き継がせたい」が68.4%となっており、他の年齢層と比べて高い。
一方、「わからない」(16.8%)の割合は低い。開業後日が浅いうちから事業承継について考えているシニア起業家は少なくない。

○ シニア起業家が事業承継させたい相手は「一緒に働いている家族」「家族以外の従業員」がともに31.7%と最も多い。






以上の調査結果のまとめは以下の通り。


「シニア起業家」は、


1 開業直前にマネジメントに携わっていた人の割合が高い

2 長い経験を活用した開業がある一方、未経験分野での開業もみられる

3 「できるだけ多くの収入を得たい」は少ない

4 黒字基調の割合は低い



今年は私たちの起業集団「つくる仙台」においても、
シニア起業家の皆さんのお手伝いができるとさらに東北の復興を担えるのではないかと思っています。



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