サポーターズコラム

農業をワークシフトする
久しぶりにコラムへ寄稿します。株式会社ステート・オブ・ジ・アーツの香山です。
今回は少し飲食店からより原点の部分へとフォーカスして、飲食店とは切っても切れない農業について少し書きます。
まず始めに農業は、新規参入がとても難しい事業だ。 凄く簡単に言うと土地転がしなどの悪用、脱税を禁じる為(単純に言えば農地は税金が安い)に、農地所有には厳しい制限がいる。(新たな開墾や効率的運用にはさらに様々な資格も必要)その為日本においては、企業や個人が新たに国内で農地を所有することは極めて難しい。(※現在は、実験的にセブン&アイホールディングス傘下の企業が参画している)そして、そういった制限も要因の一つとなり、就農人口が激減し、耕作放棄地も年々増えているのが現状だ。(なんと2005年の時点で386,000haもあり、実に東京ドーム82558個分もの面積だ!計算するのもバカバカしい※追記ディズニーランド7568個分。いかに広大かわかるだろうか?)
しかしそんな中、2009~10年頃から盛り上がりを魅せている農業の新しいカタチがある。
それが「会員制農園」
なんのこと?とお思いの方もいるだろうが、簡単に言えば就農体験、もしくは農地を区画レンタルし、会員限定のサービスとして売り出しているビジネスモデルである。「おぉー!農業の新しいカタチだ!」と思う方も、もしかしたらいるかもしれないし、既に体験済みの方もいるかもしれない。
ただ、このビジネスモデルには大きな欠点がある。それは都内や大規模都市圏の近隣に限ったモデルであること。農地のある原風景に慣れや親しみの無い、都市圏の人間をターゲットにしているからこそ成り立つ限定型モデルだ。少なくとも現在では。(都内近郊のサービス提供スペースは順番待ちの大盛況で一年や二年待つ事もざらにあるらしい)だが、地方にとって農家はそれほどかけ離れた存在ではない。田んぼや畑はそこらじゅうにある。
会員制体験農園や、会員制農地貸付ビジネスが、都内近郊で急激な発展を見せている背景としては、食の安全に対する意識や、働き方を模索するサラリーマンが増え、ワークシフトの基調が高まっているからだろう。今、日本の終身雇用という幻想制度は、大手企業も例外なく崩壊していて、そんな中働く人々は、どのような「働き方」を?そしてどのような「生き方」をすべきなのか?が問われている。
一つの例として、昨年の夏(2012/7/28)に発売され大ヒットしている『ワーク・シフト 』という本から引用しよう。
経営組織論の世界的権威で、英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとり。 ファイナンシャルタイムズでは「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に選ばれている。組織におけるイノベーションを促進するホットスポッツムーブメントの創始者。『HotSpots』『Glow』『Living Strategy』など7冊の著作は、計20ヶ国語以上に翻訳されている。人事、組織活性化のエキスパートとして欧米、アジアのグローバル企業に対してアドバイスを行う。12年9月現在、シンガポール政府のヒューマンキャピタルアドバイザリーボードメンバー。TEDスピーカー。2人の息子の母親。ちなみに現在はロンドン・ビジネス・スクールで教鞭をとっている。
この本の中で、リンダ・グラットンは三つのシフトを提唱しています。(一部本から引用)
(1)1つの企業でしか通用しない技能で満足せず、高度な専門技術を磨き、他者との差別化をするために「自分ブランド」を築くこと。
(2)難しい問題に取り組む上で頼りになる少人数の「同志(ポッセ)」グループとイノベーションの源泉となるバラエティに富んだ大勢のネットワーク(ビックアイデア・クラウド)と打算のない友人関係(自己再生のコミュニティ)という三種類のネットワークを構築すること。
(3)家族や趣味、社会との絆といった創造的経験を重んじる生き方に転換すること。
日本の農業では、ごく一部でしかこの三つは体現されていなかった。それが冒頭の耕作放棄地を生む結果の一つの要因でもある。そして、終身雇用という幻想に踊らされてしまった方々、これから社会に出る方、そして起業家は、今一度働き方や生き方を上記のようにシフトしてみてはいかがだろうか?起業家は少し上記のようなシフトとは違うシフトをとっているだろうが、企業にとって一つの成長方針ともなるのではないだろうか?
最後に、TPP交渉の参加・不参加などで農業界は荒れていますが、私は会員制農園ビジネスのようなモデル主体ビジネスの推進を強く推します。品質や物量に頼ったビジネスは、差別化や流量の確保に苦しみます。今後このようなモデルがより発展していき、都市圏から全国へと拡大し、日本の農業がより発展することを望んでいます。そして、私は近い将来、流行語が「週末農家」になる日も近いのかもしれない。と思っています。
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